『京都太秦物語』がとても印象的だった件
これは久しぶりにヤバいものを観ちまった!という想いで溢れております。
『京都太秦物語』は立命館大学、松竹、そして京都府の産官学連携によって製作された商業映画です。監督がかの山田洋次ということで、無駄に期待値を上げてくれます。今日は長いよ。
京都太秦の商店街を舞台に、うだつの上がらない恋人と熱烈に思いを寄せてくれる男性との間で揺れ動く女性の姿を描く人間ドラマ。『おとうと』などの山田洋次と『しあわせ家族計画』の阿部勉が共同で監督を務め、山田監督が生徒を教える立命館大学の学生たちや地元の人たちも一体となり創(つく)り上げた。主演 は、松竹110周年を記念するオーディションでグランプリを獲得した海老瀬はな。EXILEのUSAや劇団俳優座の田中壮太郎など、フレッシュで個性的なキャスト陣にも注目。なお本作は、5月22日よりMOVIX京都にて先行公開される。
京都太秦の大映通り商店街にあるクリーニング店の娘で、立命館大学の図書館に勤務する京子(海老瀬はな)。京子の恋人の康太(USA)は、アルバイトをしながら芸人を目指していた。ある日、大学生の大地(田中壮太郎)が図書館で見かけた京子に一目ぼれしてしまう。ちょうどそのころ、京子と康太の仲にもさざ波が立ち始め……。
というわけで観て参りました。まず最初に言っておくと、実に立派な商業映画であります。産官学連携のスキームは素晴らしいと思いますし、学生さんたちが作ったとは思えないクオリティです。ちゃんと映画になっています。学生さんたちがどの程度関与されたかは存じませんが。何事もモノとして成立して初めて「好き嫌い」で語られるようになるわけですが、これからボクが思いっきり好みの問題として語りますので、そういう意味では本当にグッジョブなわけです。製作した学生さん達にしてみれば、商業映画としてMOVIXという立派な映画館で上映されるというのはさぞかし感慨深いでしょうね。出身校的にも仕事的にも立命さんのグッジョブに悔しい想いを抱いております。
と、エクスキューズはこれくらいにしまして。
この映画、なかなかのパンチ力を持っています。「恋空」とか「アマルフィ」といった、ある方向においての問題作は数あれど、この作品もかなりイイ線行ってるんじゃないでしょうか。実に観ている方をツッコむのに忙しい気分にさせてくれます。まぁこの映画を観に行くという予定の方もさほど多くないでしょうから、いつもより若干ネタバレ気味で行きたいと思います。
まず登場人物を整理します。主な登場人物は3人(+1名)。役名を調べるのが早くも面倒なので勝手にあだ名をつけて呼びます。
- ヒロイン(海老名はな):クリーニング屋の娘で立命館の図書館司書。派遣社員らしい。陸上をやっていた。
- エグザイル(USA):豆腐屋の息子にしてヒロインの幼なじみ、もしくは彼氏。売れないお笑い芸人。松竹芸能。
- インテリ(田中壮太郎):漢字の研究をしているオッサン学生。一時的に立命館に来ているだけ。
- 妹(西田麻衣):ヒロインの妹。ひらひらミニスカの女子高生。まさかのキーパーソン。
さてこの映画、とっても不思議な構成です。檀れいのドキュメンタリー風のナレーションで始まるこの映画、ストーリーが始まったと思ったら突然ヒロインのお父さんのインタビューが始まっちゃった!なんか商店街とかクリーニング店の歴史を語っちゃってますよ。
え?この人役者じゃなくて本当にクリーニング屋の人なの??
どうやらそうみたい。そんなこんなで豆腐屋さんのインタビューも始まります。もしかして、この主役級の3人(+1名)以外は全部地元の人なのか?
さらに話は続きますが、またもや衝撃の展開に。
ストーリーに全く出てきていない本屋店主のインタビューが始まりました!本屋店主、まさかのインタビューで初登場!!
で、インビューが終わってからストーリーに本屋が登場しました。やるにしても順番が逆でしょ。
さてインタビューが落ち着いたところで話が進んでいきます。研究者として頻繁に図書館を利用するインテリ、そこでいつも応対してくれる司書の子が、いきつけのクリーニング屋にもいる(だって娘だもん)ということから、急にヒロインのことを意識するようになります。そのインテリのことを知った妹さん、姉(ヒロイン)に対して
「インテリなんか変態ばっかりや」
と唐突な暴言を吐きます。その後ヒロインが陸上選手だったことを聞いたインテリは、ヒロインがむっちむちの短パンで走る姿を妄想し始めます、スローモーションで。さすがのボクもビックリな変態ぶりで、そういえばさっき妹が言っていたとおりですね、
ってこんな伏線いるか!
しかもこのエロ妄想シーンがあと何回かあります。まぁヒロインを売り出すためのサービスカットだと思えばお得ですね。
さてストーリーに戻りますが、インテリがヒロインに惚れてしまうことから、エグザイルとの将来を決めつつあったヒロインの心が揺れる、というのがこの物語の核なのですが、インテリは何故ヒロインのことを好きになったのか、という描写がないのです。ですから観てる側は全然感情移入できないと思うのですが、インテリはヒロインの実家の店でよく分からない漢詩でいきなり告白し、「あなたに彼氏がいようがいまいがボクには関係ありません!」みたいな暴言を吐きます。おいおい、奥からお父さん出てきちゃうよ。挙げ句の果てに、来月から北京で研究するから一緒に来て欲しいとか無茶を言います。で、ヒロインはちゃんと悩みます。まさかの脈アリです。ボクも漢詩で告白したら結婚できるのかなあ。
で、ここまで全く触れていないエグザイルですが、彼にも問題が大アリです。毎朝帷子ノ辻(かたびらのつじ)から嵐電に乗って大阪まで出かけるエグザイル(大宮で乗り換える不便さについてはあまり触れられていませんがどうでも良いです)、彼は設定上「お笑い芸人」もしくは「お笑い芸人志望」なのです。なのにネタが全然面白くないのです。何度も何度もネタ見せするシーンがあるのですが、1秒たりとも笑えるところがありません。
なんでダンサーをキャスティングした!
これだけお笑いが蔓延している世の中で、映画のナカとはいえお笑い芸人が小笑いも取れないというのはリアリティーに欠けますよね。そう、さっきのインタビューの件といい、この映画はいちいち興ざめすることが多いんです。ヒロインはかわいいですけどね。ともかくこんなところで笑えるネタを用意できない松竹芸能(たぶんバックアップしているはず)にはガッカリです。ちなみにちょっとだけ笑ったシーンがあったのですが、それは本人役で出演していたアメリカザリガニのネタでした。反復横跳びで「こっち大阪、こっち京都」って言うネタだったと思います。なお救いとしてエグザイルにはちゃんとダンスするシーンが用意されていて、これは圧巻のダンスなのですが、ストーリーに全く関係ないので観ている方もポカーンとしてしまいます。なんで高島屋の夜間警備中にいきなり踊り出すん?
そして話もようやく佳境に入ります。相方が辞めてしまってピン芸人になったエグザイル、仕切り直して立命館の学祭に出演しますが、出演中にも関わらず生意気な学生たちに「先輩、おもんないっすよ~」とこき下ろされて大失敗に終わります。ちなみにここ、この映画で一番リアリティーを感じるシーンです。さらに終了後、ヒロインからも「必死すぎで笑えへんねん」とまさかのダメ押しをくらいます。なんでやヒロイン、めっちゃ優しいキャラやのに。しかもこのダメ出しされる場所が賀茂大橋の下。あの同志社大学と京都大学の中間に位置する場所です。って、
さっきまで衣笠におったがな!
と思わずには居られません。よりによって同大生と京大生のたまり場ですからね。ロケーションが不自然です。どうせバスで出るなら四条河原町とか行きませんか。それとも後輩に辱められて、ライバル校に寝返ったのかな?

と突っ込んでいたら、
なんかインテリが賀茂大橋の下に見切れてるんですけど!飛び石で川渡ってるんですけど!!
もうどうなってるんですか、この土地勘。
そんなこんなで2人のオトコの間で激しく揺れるヒロイン、エグザイルかインテリか?しかしエグザイルとはケンカばかり。そしてインテリはもう京都を離れて東京へ戻り、まもなく中国へ旅立ってしまう。インテリは無駄に賀茂大橋に行った帰りにヒロインに新幹線のチケットを押し付けます。明日の6:53の新幹線に乗るから一緒に来て欲しいと。朝、早いな。相手は太秦住まいやぞ。
いよいよインテリが旅立つ朝、ヒロインはこっそりと家を出ます。なんで!まさかの中国行きなの!?いよいよこの映画のクライマックス。なんで嵐電乗ってるの?
ちなみに気になったので調べてみたところ、6:53の新幹線に間に合うように太秦を出ようと思えば、帷子ノ辻の始発が6:09なので、大宮~烏丸経由では確実に間に合いません。どんな設定ミスやねん。普通に8時くらいの新幹線でええやないか。しかしである。帷子ノ辻ではなくJR太秦駅まで歩いて山陰本線に乗れば間に合うのだ
って、ワシは西村京太郎か!
でもねえ、ヒロインは嵐電に乗っちゃったねえ。確実に遅刻だねえ。遅刻で会えないのかぁ、と思っていたら、ここで実家に切り替わり、なんと、
無駄に妹のパンチラシーン
ちなみに白でした。って、ほら、見事に集中力切れたじゃない。で、少しずつ気を取り直して、は!ヒロインが京都駅に居る!朝の京都駅だ!
間に合ってるし!
しかも烏丸口の改札の外にいるのは明らかに地下鉄でやってきたという感じだぞ?
で、インテリが新幹線のホームからヒロインに電話すると、ヒロインが電話をとった!やっぱりこの2人は結ばれてしまうのか!どうなるのーー!!??
と、いうところで、
続きは映画館でどうぞ。
ほら、観たくなったでしょ?ちなみに1,000円で観られますよ。ま、公開はもうすぐ終わるみたいですけどね。
そういうわけで、最後の最後のネタバレは避けましたが、この映画、ひと言で言いますと、
半分くらい立命館大学の宣伝でした。
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さて、「これはレビューの書き甲斐があるぞ〜」とか思っていたら、右前のおじいちゃんが、おじいちゃんが、
号泣してました。
やれやれだぜ。











4 Comments
KBSでのテレビ放映を楽しみにしています。
そのときは是非録画して繰り返しお楽しみください。
山田監督をうちに呼んで講義お願いしましょうか?
映像による地域活性化ってことで。
先例が成功していれば是非お呼びしたいところですが。
はたして。